FMCW 光距離計測システムの開発
FMCW 光距離センサとは,光周波数が線形に掃引されたレーザ光を用いた光距離計測システムのことです。このシステムでは光周波数掃引における線形性が距離計測の精度を大きく左右します。そこで,レーザ光の光周波数の非線形性の影響を除去する信号サンプリング法(k サンプリング法)を利用してシステム(下図参照)を構成し,距離計測の空間分解能と高感度化を実現しました。
LiDAR の開発
LiDAR (Light Detection And Ranging) はレーザ光を用いて物体までの距離を測定する光計測技術で,航空機に搭載して地形の形状を測定する測量や,自動運転自動車におけるレーダとして利用されています。通常の LiDAR は光パルスを照射する ToF (Time of Flight) 法を利用していますが,当研究室では FMCW 法を利用した LiDAR の開発を行っています。 上の図は,本学の校舎を測定たもので,左が写真,右が測定結果です。色は距離を表しています。建物が 1 区画ずつ斜めになっていて距離が異なっていますが,その様子もしっかり測定できています。測定距離は 120 m 程度です。また,建物下部の扉のサッシやガラス窓の奥(校舎内)に設置してある椅子なども測定できています。 上の図は,立っている人を測定したものです。手前の人は 40 m 程度遠方に,奥の人は 80 m 程度遠方に立っています。2 人とも黒い服を着て手を挙げていますが,その様子がしっかり測定できています。 半導体レーザの光周波数掃引の線形化
上記のように,FMCW 光距離センサとでは線形な光周波数掃引が求められます。上記の k サンプリング法は優れた方法ですが,測定距離が長くなると実現が難しくなります。そこで,レーザ光の光周波数を線形掃引するためのレーザ変調波形の最適化を行い,距離計測の空間分解能と高感度化を実現しました。
3 次元物体形状計測への応用
FMCW 光距離センサの応用として,物体形状計測システムの開発を行っています。比較的小型の物体(プリント基板,小型の機械工作物,硬貨など)を対象としています。測定距離は比較的短いので,k サンプリング法を利用したシステムで研究を行っています。具体的には,距離測定用のレーザ光を測定対象上に 2 次元的にスキャンし,測定対象までの距離の空間分布を測定します。
光ファイバグレーティング(FBG)を用いた光ファイバセンサ
FBG とは,光ファイバ内に周期的な屈折率の変調を施した光素子で,屈折率変調の周期で決まる波長(ブラッグ波長)の光のみを反射します。ブラッグ波長は光ファイバの温度やひずみにより変化するので,温度センサやひずみセンサとして利用することができ,多くの研究が行われています。
その他の研究(過去の研究例) その他,過去には以下の研究を行いました。機会があれば再開するかもしれません。ご興味をお持ちでしたら,ご連絡いただければ幸いです。
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